【出展告知】NexTech Week 2026春
2026年2月25日目次
記事概要
「RAG(ラグ)」という技術を使って自社専用のAIを導入しても、「思うような回答が返ってこない」と悩むケースは少なくありません。その鍵を握るのが、AIへの「指示書」であるシステムプロンプトです。本記事では、AIのポテンシャルを最大限に引き出すための具体的な書き方を解説します。
AIに対して「何を」「どこから」「どのように」伝えるかを明確に定義することで、AIは単なるチャットボットから「自社の優秀な専門スタッフ」へと進化します。
プロンプト作成マニュアル
専門用語の解説
記事を読み進める前に、重要な用語を確認しておきましょう。
- RAG(ラグ): AIが学習した一般的な知識だけでなく、会社独自の資料(PDFやExcelなど)を読み取って回答を生成する仕組みのこと。
- システムプロンプト: AIに対して「あなたは〇〇の専門家です」「丁寧な口調で答えてください」といった、振る舞いやルールをあらかじめ設定する「指示書」のこと。
- ハルシネーション: AIがもっともらしい嘘(間違い)をついてしまう現象。

① 役割の定義
AIに具体的な「立場」を与えます。単なるアシスタントではなく、特定の専門家として定義することで、使う言葉や視点が最適化されます。
- 書き方のコツ: 「あなたは優秀なAIです」ではなく、**「あなたは[社名]の製品仕様に精通した、テクニカルサポートエンジニアです」**のように具体化します。
- 期待される効果: 文脈に沿った専門用語の使い方や、問題解決に向けた思考プロセスが向上します。
② ユーザー属性
「誰が」質問しているかをAIに理解させます。これにより、説明の難易度や親切心をコントロールできます。
| ターゲット例 | 定義・指示の例 | 期待される回答スタイル |
| 初心者 | 専門用語を避け、中学生でもわかる言葉で解説する。 | 噛み砕いた表現、比喩表現を用いた分かりやすい説明。 |
| プロフェッショナル | 前提知識は省略し、技術的な数値やコードを中心に回答する。 | 簡潔で正確、専門的なデータに基づいた高度な回答。 |
| 既存顧客 | 親しみやすさを持ちつつ、具体的な操作手順を優先する。 | ユーザーに寄り添った丁寧な案内、マニュアルに沿った手順提示。 |
③ 参照ナレッジと優先度
RAGにおいて最も重要な項目です。AI自身の知識(学習データ)と、検索されたドキュメント(ナレッジ)のどちらを優先するかを指定します。
指示の例:
- 提供された【参照資料】の情報のみに基づいて回答してください。
- 資料に情報が含まれていない場合は、自身の知識で補完せず、正直にその旨を伝えてください。
- もし資料内に矛盾がある場合は、最新の日付の情報を優先してください。

④ 回答ルールと構成
回答の「型」を指定することで、ユーザーが情報を読み取りやすくなります。
- 結論ファースト: 最初に結論を述べる。
- 視認性の向上: 箇条書きを活用する。
- 根拠の明示: 回答の根拠となった資料名やページ数を明示する(出典の明記)。
- ステップ表示: 解決策を1, 2, 3と順序立てて提示する。
⑤ 回答不可・範囲外への対応
AIの「知ったかぶり(ハルシネーション)」を防ぐためのガードレールです。
- 指示の例: 「ナレッジに情報がない場合は、『申し訳ございませんが、こちらでは情報が確認できませんでした。担当部署へお問い合わせください』と回答してください。」
- リスク管理: 個人のプライバシーや公序良俗に反する質問には回答しないよう厳格に定めます。
⑥ 口調・トーンの設定
ブランドイメージに合わせたキャラクター付けを行います。
- フォーマル: 「です・ます」調を徹底し、過度な装飾を避ける。
- フレンドリー: 親しみやすい表現を使い、ユーザーを励ますような言葉を添える。
- 簡潔・ロジカル: 感情を排し、事実関係のみを最短ルートで伝える。
💡 応用:質問が曖昧な時の「逆質問」指示
ユーザーの質問が抽象的すぎて回答を絞り込めない場合、適当に答えるのではなく「聞き返す」ように設定すると、満足度が劇的に上がります。
プロンプトに組み込むアドバイス例:
ユーザーの質問が以下のいずれかに当てはまる場合は、回答を生成する前に不足している情報を「逆質問」してください。
- 主語が抜けており、どの製品・サービスを指しているか不明な場合。
- 「うまく動かない」といった、具体的な症状やエラー内容が不明な場合。
逆質問の例: 「恐れ入ります、お客様がご利用中のモデル名は『A』と『B』のどちらでしょうか?」
まとめ
システムプロンプトは、AIという「優秀な新人」に渡す、業務マニュアルのようなものです。
「何を(役割)」「どこから(参照資料)」「どのように(回答ルール)」を明確にすることで、RAGモデルのポテンシャルは120%発揮されます。
まずは自社の主要なドキュメントを使い、今回ご紹介した6つのステップでプロンプトを整えてみてください。AIとのコミュニケーションが驚くほどスムーズになるはずです。












